最近よく聞くのが、
「うちの社員は、管理職になりたがらない・・・」
という嘆きです。
原因を考えたときに、真っ先に出てくるのが、
「給料が割りに合わない」
役職手当はつくものの、時間外手当がなくなれば手取りとしてはトントンか、
もしかしたら・・・・。
確かに、これも一つの不人気の要因かもしれませんが、
本質的にはもっと深いところに原因がありそうです。
1.結果が出ずに責任を問われることが多い
経済状態が不安定な中、
何をやっても失敗する確率が高い世の中。
ただでさえ、管理職になったとたん、
それまでの過保護状態が嘘のように、
経営からも、下からも、
「管理職は当然こうあるべき」というような責任論の集中砲火を浴びている最中に、
芳しくない結果の責任を問われるのは相当しんどい状態です。
2.上下間の人間関係というものに慣れていない
昔のように、体育会系組織で上下関係を学んだり、
自分が部下の時代に上司から積極的な関わりを受けている人は少数派でしょう。
その状態で自分が上司にたったとしても、
部下に何をしてよいのかイメージできない。
人間関係が築けない中では、仕事の成果を生まれにくくなります。
3.仕事の増加・複雑化・専門化
例えば、今までは「横流し」していればよかったとある商社の業務は、
物流管理から品質管理まで、より高度で複雑な業務を取引先から求められています。
それらを取りしきることは、一昔前のビジネスモデルで成功を積み重ねてきた人達にとっては、
至難の業です。
【会社がとりうる対策】
◆いきなり管理職に多くを求めすぎない
本人も登用を意気に感じ、責任を背負い込むことが「美談」となりがちな風土があるが、
そんな話は「プロジェクトX」でしか見られない、と割り切ってしまう。
初めからマネジメントできる人なんて少なく、それよりもいかに失敗から学んでいくかが大事なのです。
◆会社から資源を投入する
できれば人の面で、優秀な補佐役を下につけるとか、
自律的に動ける人を何人か置いて、マネジメント負担を軽減するなどの支援が必要です。
また、人の面以外の支援としては、
「経営者からのビジョンや理念を浸透させる」
ことも、それで部下の動き方に方向性が生み出されるのであれば、
立派な支援内容といえます。
◆予備役期間を設ける
これは、キャリアパスや資格等級制度の問題ですが、
一般職と管理職の間に「監督職」のようなものを置いて、
擬似マネジメントトレーニングをさせるというもの。
かつては、そういったポジションが設けられていましたが、
近年は「フラット化」の掛け声の中、そのポジションがゆらいできてしまってます。
いずれにせよ、管理職者自体も「育成対象」であるという認識を持ち、
会社がサポートしていく仕組み、姿勢が必要です。
(↓参考図書)